
自分の死後、スマホやSNSはどうなる? 今からできるデジタル終活
スマートフォン(以下:スマホ)には家族や友人との写真、日々の連絡、銀行口座の情報、買い物の履歴など、様々な情報が詰まっていますよね。
パソコン(以下:PC)にも、仕事上の資料や動画・音声・画像など、長年保存してきたデータが残されている事でしょう。
もしここで自分が突然亡くなったらそれらの情報はどうなるでしょうか。
家族はPCやスマホ内を扱えるでしょうか。ネット銀行や有料サービスの存在に気づけるでしょうか。SNSアカウントは自分が望んでいた通りに対応してもらえるでしょうか。
こうした問題に備え、元気なうちからデジタル機器やオンラインサービスを整理し、自分の希望を残しておく事を「デジタル終活」と呼びます。
総まとめの最終回です
第1回では、デジタル遺品とは何か、なぜ家族が対応に困るのかについて解説しました。
第2回では、パスワードや写真、ネット銀行、SNS、サブスクリプションなど具体的な整理方法をご紹介しました。
最終回となる今回は総仕上げとして「自分が亡くなった後の事を、どこまで考えて準備しておけばよいのか」という視点からデジタル終活について考えていきます。
終わりに備えるのではなく前向きなデジタル終活
デジタル終活というと、難しい手続きや専門的な知識が必要だと思われるかもしれません。しかし最初から完璧な準備をする必要は無いのです。
大切なのは、自分にとって必要な情報を整理して残したいものと残さなくてもよいものを考え、家族が困らないための手がかりを用意しておく事です。
人生の終わりに備えるという極端な意味ではなく、今の生活を見直して今後安心して過ごすための、デジタル終活を始めてみましょう。
1.デジタル終活は何歳から?
「終活」と聞くと、定年退職後や高齢になってから始めるものという印象を持つ方もいるでしょう。
しかしデジタル終活は、年齢を理由に後回しにしてはいけないと思います。
例えば20代や30代ならスマホに何千枚もの写真を保存していたり、SNSを複数利用していたり、中にはネット銀行やネット証券で資産を管理していたりする人もいるはずです。
40代や50代になれば仕事関係のデータや家族の写真、オンラインサービスの契約などがさらに増えている場合もあるでしょう。
そして年齢を重ねるほど、長年利用してきたサービスや保存データが増える傾向があります。
様々なケースで準備は必要
もちろん全ての人が同じ準備をする必要はないでしょう。しかしデジタル機器やオンラインサービスを利用している以上、突然使えなくなった場合や、自分で手続きを行えなくなった場合に備えておく事には、必ず意味があります。
ポイントは、デジタル終活が必ずしも「亡くなった後の準備」だけではないという点です。
例えばスマホを紛失したとき、PCが故障したとき、病気や事故で長期間入院したとき、普段利用しているサービスや重要なデータを把握しておく事は、年齢にかかわらず必ず自身の役に立ちます。
今の生活をより安全で快適にする行動
自分が利用しているサービスを一覧にしておけば、機種変更の際にも便利です。
その際不要な契約を整理すれば、毎月の支出を見直すきっかけにもなります。
写真や文書の保存場所を把握しておけば、データを失うリスクにも備えられます。
つまりデジタル終活は、将来のためだけに行うものでは無いのです。
自分のデジタル環境を整理し、今の年齢でより安全で快適な生活にする事もデジタル終活の大切な目的と言えます。
「まだ早い」と思わず、まずは自分がどの様なデジタルサービスを利用しているのか、確認するところから始めてみませんか?
2.最初に決めておきたい「残すもの」と「残さないもの」
デジタル終活を始める際まず考えておきたいのが「どのようなデータを残したいか」です。
スマホやPCには様々な情報が保存されています。しかしその全てを家族に残す必要はありませんよね。
例えば家族旅行の写真や子どもの成長記録は、将来も残しておきたいと思うでしょう。
一方で一時的に保存した画像や不要になった文書、使わなくなったアカウント等は整理して差し支えないはずです。
また個人的なメールやメッセージアプリのやり取り、プライベート写真など、例え家族であっても絶対に見られたくない情報は誰しも必ずあります。
デジタル終活ではこうした気持ちも含めて、自分自身の希望を整理しておく事が大切です。
家族に残したいデータ
まずは次の様に自分が大切にしているデータを整理してみましょう。
- 家族や親族との写真、動画
- 子どもの成長記録
- 旅行や趣味の記録
- 家族や友人から届いた大切なメッセージ
- 自分が書いた文章や日記
- 家族に伝えておきたい手紙
- 仕事や趣味で制作した作品
探しやすくしておく事
こうしたデータは自分だけではなく残された家族にとっても大切な思い出になるはずです。
ただ全てそのまま保存し続ければ、データ量が膨大になりがちです。
特に残しておきたい写真や動画を選び、分かりやすい場所にまとめておく方法がおすすめです。
例えば家族旅行の写真を年ごとに整理したり、子どもの成長記録を一つのフォルダーにまとめたりするだけでも、後から見つけやすくなります。
大切なのは単にデータを残すのではなく、必要な時に見つけられる状態にしておく事です。
見せる必要のないデータ
先ほども言いましたが、全てのデータを残さなければならない訳ではありません。
個人的メールやメッセージ、プライベートな情報については本人の意思を尊重したいところです。
家族に残したい写真は保存しておき、それ以外の個人的なデータは整理しておくのが一般的でしょう
また不要なアカウントを生前に削除したり、必要ないファイルを処分したりする事も一つの手ですね。
ただしデータの中には削除すると元に戻せないものもあります。
仕事上の記録、契約に関する書類、税務や相続に関係する情報など、後から必要になる可能性があるものは安易に削除するべきではありません。
「見られたくないから全て消す」というコンセプトではなく、必要なものと不要なものを区別する事が大切です。
自分の希望を家族に伝えておく
残したいものと残したくないものを決めたら、その希望を家族に伝えておく事も考えましょう。
- 「家族写真は残してほしい」
- 「旅行の動画は子どもたちにも見てもらいたい」
- 「SNSのアカウントは、可能であれば削除してほしい」
といった希望です。
ただしサービスによっては、本人の希望どおりにデータを引き継いだり削除したりできない場合もあります。
そのため希望を残すだけでなく、実際に利用しているサービスの仕組みも確認しておくと安心ですね。
デジタル終活は、自分の情報を全て公開するための準備ではありません。
何を残して何を残さないかを考え、その意思をできる範囲で実現できるように備えておく事がコツです。
3.エンディングノートに何を書けばよいのか
デジタル終活を進めるうえで役立つのが「エンディングノート」です。
エンディングノートとは、自分の希望や必要な情報などを記録しておくためのノートですね。
市販のものを利用する方法もありますし、ノートやPCで自分なりに作成する方法もあります。
一般的にエンディングノートは遺言書と違って法的な効力はありませんが、自分の希望や必要な情報を家族へ伝えるための手段として役立ちます。
デジタル終活では、このエンディングノートにデジタル関連の情報をまとめておく事をお勧めしています。
利用しているサービスを記録する
まず記録しておくべきは自分が利用しているデジタルサービス一覧でしょう。
- メインで利用しているメールアドレス
- GoogleやAppleなどのアカウント
- SNSのアカウント
- ネット銀行やネット証券
- 電子マネーやキャッシュレス決済
- 写真や文書を保存しているクラウドサービス
- 有料の動画配信や音楽配信サービス
- オンラインショッピングのアカウント
上記の全てのサービスについて、細かな情報を記載する必要はありません。
まずはサービス名と何に利用しているのかを記録しておくだけでも、家族にとって大きな手がかりになります。
特にネット銀行やネット証券など資産関連サービスは、利用先の存在が分かる様にしておく事が重要です。
データの保存場所を記録する
次に写真や動画、重要な書類などがどこに保存されているのかを記録しておきましょう。
- 「家族写真はGoogleフォトに保存している」
- 「過去の写真は外付けハードディスクに保管している」
- 「仕事の資料は会社のクラウドサービスに保存している」
家族がデータの保存場所を知らなければ、必要な情報を見つける事ができないかもしれません。
逆に保存場所が明確なら、適切な手続きの確認や必要なデータを保全するための第一歩になる事でしょう。
死後の希望を記録する
エンディングノートには、アカウントやデータについてどんな対応を希望するかも書いておくべきです。
- 家族写真は可能な限り残してほしい
- 個人的なSNSアカウントは削除を希望する
- 仕事に関するデータは勤務先へ連絡してほしい
- 有料サービスは契約内容を確認して解約してほしい
ただエンディングノートに書いたからといって、全てのサービスで想定通りの手続きができるとは限りません。
そもそもエンディングノートに記載された内容は、法律上の遺言と同じ効力を持つ訳ではないのです。
特に財産の相続や分配については、エンディングノートで済ませず遺言書などの適切な方法を検討したいものです。
パスワードをそのまま書くのは避ける
次に注意したいのが「パスワード情報の記載」です。
エンディングノートに利用中のサービス名を書くのは良いですが、全てのパスワードや暗証番号を書き込むのはリスクがあります。
ノートを紛失したり第三者に見られたりすると、不正利用につながる可能性があるためです。
エンディングノートにはサービス名や情報の保管場所のみ記載し、パスワードはまた別の方法で管理する事も検討しましょう。
例えばパスワード管理サービスを利用するなら、緊急時に家族が当管理サービスへアクセスできる手順をガイドしておくなどです。
緊急時のアクセス機能や利用条件はサービスによりますので、家族が必ずアクセスできるとは限りません。仕様を確認しておく必要がありますね。
ここまで解説の通り、エンディングノートの目的は秘密の情報を一冊に詰め込む事ではないのです。
家族が必要な情報を見つけ、適切な手続きを進めるための一つの道しるべを作る事と言えるでしょう。
4.家族が自由に引き継げないGoogle・Appleのアカウント
今やGoogleやAppleのアカウントは、デジタル終活において特に注意しておきたい情報の一つになります。
Googleアカウントには、Gmail・Googleフォト・Googleドライブ・連絡先・カレンダーなど、様々な情報が集約されています。これはAppleアカウントも同様です。
仮にこれらのアカウントが使えなくなると、長年保存してきた写真や記録に本人はもちろん家族もアクセスできなくなります。
これらの情報もこれまで同様、本人が亡くなったからといって家族が自由にアカウントへログインできるとは限らない訳です。
アカウントの引継ぎツールやマニュアル
利用規約や本人死亡時の対応方針はサービスごとに定められており、その取り扱いには注意が必要です。
確認しておきたいのが、各サービスの「アカウントの引き継ぎ」や「死後のデータへのアクセス」に関するマニュアルでしょう。
例えばGoogleには、一定期間アカウントを利用しなかった場合に、指定した相手へ通知したり、選択したデータを共有したりするための「アカウント無効化管理ツール」があります。
Appleには本人が亡くなった後に指定した人がアカウント内の一部データへアクセスできる様にする「故人アカウント管理連絡先」という仕組みがあります。
こうした機能を利用する場合、対象となるデータや必要な手続き、利用できる範囲を事前に確認しておきましょう。
設定できる内容や条件は変更される可能性があるため、定期的に各サービスのマニュアルを確認しておくべきです。
引き継ぐデータの範囲
繰り返しますが、全てのデータを家族に引き継ぐ必要はありません。
仕事上の資料や個人的メモなど、死後に見られたくない情報もありますからね。
重要なのは家族が困らないようにしつつ自分のプライバシーも守る事です。
「写真だけは家族に残したい」「メールの内容は見られたくない」「使わなくなったアカウントは削除してほしい」など、希望を具体的に整理しておけば、家族も判断しやすくなりますね。
5.SNSは「残す」「削除する」「追悼の場にする」を考えておく
SNSアカウントも、デジタル終活面では忘れずに整理しておく必要があります。
Instagram、X、Facebookなどは本人が亡くなった後もアカウントがネット上に残り続けます。
プロフィールや投稿は公開されたままですから、死後も知人からメッセージが届き続ける事が考えられます。
本人の日常の記録は家族にとっては大切な思い出ですが、逆に本人の死後もSNSが公開され続ける事に抵抗を感じる家族もいるでしょう。
そのためSNSについては、あらかじめ自分の希望を決めておく事をおすすめします。
SNSにおける3つの選択肢
主な選択肢としては次の3つです。
①アカウントを削除する
死後、アカウントを残さずに削除する手段です。個人的な投稿を残したくない場合や、長期間使っていないアカウントがある場合などに適しています。
削除すると投稿や写真などは再び確認できなくなります。残しておきたい写真や記録があれば生前に保存方法を検討しておきましょう。
②アカウントを残す
自分が投稿してきた記録を、思い出として残しておく手段です。
旅行の写真、趣味の活動、家族との交流など、SNSが人生の記録になっている人も少なくありません。
複数アカウントがある場合、どのアカウントをフォロワーに残したいのか考えておくとよいでしょう。
ここでアカウントを残す事と家族がログイン運用できる事とは別の話です。
本人の死後の取り扱いについては、各SNSの規約や用意されている手続きを確認する必要があります。
③追悼アカウントなどの仕組みを利用する
サービスによっては、本人の死後にアカウントを追悼用の状態に変更できる仕組みが用意されています。
例えばFacebookやInstagramには、一定の条件のもとで追悼アカウントとして扱う仕組みがあります。
ここで利用できる機能や手続き、管理を依頼できる範囲はサービスによって異なります。
また追悼アカウントにできる場合でも、全ての情報が家族に開示される訳ではありません。
死後のSNSへの対応
SNSの整理で大切なのは、死後に自分のSNSをどのように扱われたいかを伝えておく事です。
そもそも家族にアカウントの存在を知らせていないと、手続きの必要性に気づいてもらえません。
利用中のSNSを一覧にし、それぞれの希望をデジタル終活ノートに記載しておくと安心ですね。
6.パスワードを家族に伝えるときは、安全な保管方法を考える
デジタル終活を進めるうえで、避けて通れないのがパスワード管理です。
スマホ、PC、メール、クラウド、ネット銀行など、利用するサービスが増えるほど、管理しなければならないIDやパスワードも増えていきます。
全てのパスワードを紙のノートに書き出し、そのまま保管する方法はおすすめできません。
そのノートを紛失したり第三者に見られたりすれば、不正ログイン被害につながるためです。
一方、本人しかパスワードを知らない状態では、死後に家族が必要な情報へアクセスできず、手続きに困る可能性があります。
この辺りの匙加減が難しいところですよね。
この問題を解決するには、パスワードをどこに記録するかだけでなく、いざという時に、誰がどのような方法で情報を確認できる様にするかまで考えておく事でしょう。
パスワード管理アプリの場合
パスワード管理アプリを利用している場合は、緊急時のアクセス機能や、信頼できる相手への情報共有機能が用意されているかを確認してみましょう。
機能の有無や利用条件はサービスごとに異なるため、設定方法や本人確認の条件まで把握しておく必要があります。
紙で管理する場合
紙で管理する場合は、IDやパスワードを記載した書類を、普段使いのノートとは分けて、安全な場所に保管しておく事です。保管場所を家族に伝える際も、誰にどこまで知らせるかは慎重に考えましょう。
最近は二段階認証がデフォルト
最近はパスワードだけでなく「二段階認証」の設定がメジャーになっています。
ログイン時に本人のスマホへ確認コードが送られ、そのコードを入力してログインする事を二段階認証といいます。
二段階認証ONにしていれば、仮にパスワード情報を盗まれてもそれだけでは第三者はログインできません。
認証アプリやパスキー認証などもあり、二段階認証は第三者による乗っ取りを防止する非常に有効な手段です。
ただ二段階認証によるロックは、本人がいなくなればログインできなくなる可能性が高くなります。
ですがここで二段階認証を解除したり、セキュリティを弱めたりするのは本末転倒です。
むしろ不正アクセスを防ぐための安全性は維持しながら、正規の引き継ぎ方法や復旧手段を確認しておく事が大切です。
7.ネット銀行・証券口座・電子マネーについて
デジタル遺品の中でも、特に注意したいのが金融資産に関する情報です。
ネット銀行やネット証券を利用している場合、通帳や郵便物がほとんどなく、家族が口座の存在を把握していない事も十分あります。
スマホのアプリだけで残高を確認している人もいますからね。
そのため本人が亡くなった後に家族が口座の存在に気づかず、必要な手続きが遅れてしまう可能性があります。
金融機関に直接問い合わせて出向く
ネット銀行、証券会社、暗号資産交換業者などを利用している場合は、まず利用先の名称と口座を保有している事実を整理しておきましょう。
ただし、デジタル終活ノートに暗証番号やパスワードを全て書き込む必要はありません。
口座の存在や金融機関名、問い合わせ先などを記載し、具体的な手続きは金融機関に直接出向いて、担当者の案内に従えるようにしておくとよいでしょう。
この様に直接金融機関の窓口に連絡して、必要な案内を受けた方が効果的と言えます。
電子マネーやポイントへの対応
次に電子マネーやポイントも確認しておきたい項目です。
スマホ決済サービスや交通系IC、ショッピングサイトのポイントなどは、日常生活の中で少しずつ利用しているため、本人がどのサービスを使っているかを忘れてしまう事がありますよね。
サービスによっては残高やポイントが残っている場合がありますが、本人の死亡後に利用できるか、払い戻しや引き継ぎが可能かどうかは、それぞれの規約によって異なります。
また暗号資産のように、保管方法によってはアクセスに必要な情報を失うと、資産の確認や移転が非常に難しくなるものもあります。
利用している場合は、資産の保有先と適切な相続手続きを確認しておく事が重要です。
段階を追った手続きが必要になる
ここで気をつけたいのは、金融資産の情報を家族に知らせることと、家族が本人のアカウントへ自由にログインできるようにする事は違う、という点です。
金融機関への連絡や相続手続きには、所定の書類や本人確認が必要になる場合があります。
ログイン情報を共有するだけで解決しようとせず、窓口に出向いて正規の手続きができる様な情報を残しておきましょう。
8.スマホやPCが開けない場合に備える
家族が本人のスマホやPCを所有していても、その画面ロックが解除できなければ開く事ができませんよね。
特にスマホは、パスコードや顔認証・指紋認証アプリ、二段階認証など、様々なロックが掛かっています。
そのため端末を開けないとそもそも「詰み」になりがちです。
スマホの場合、その端末のパスコードを家族に伝えておけば一応解決する可能性はあります。
ですが端末によっては、顔認証オンリーにしている場合もありますので注意が必要です。
必要なのは端末に入る事ではなくデータ
そもそもスマホのロックを必ず外す必要があるのか、再考してみて下さい。
例えばスマホで撮影した写真をクラウドへ自動保存していれば、スマホ認証が解除できなくとも、クラウドに直接ログインできれば写真データは操作できます。
PCのロックが外せなくても、外付けハードディスクやクラウドにバックアップしてれば、そのバックアップを直接調べる方法が取れます。
本人が元気なうちにバックアップ方法を確認し、必要に応じて複数の場所に保存しておくと安心な訳ですね。
バックアップは注意
ただしバックアップ先にも注意が必要です。クラウドに保存していても、アカウントへアクセスできなければデータを確認できません。
また外付けハードディスクなどの記録媒体も、場所が分からなければ家族が見つけられないかもしれません。
どこにどの様なデータを保存しているのかを記録し、家族が必要なときに見つけられるようにしておきましょう。
個人情報の流出に注意
仕事用のPCについても、個人の写真や文書と同じ感覚で扱わない事が大切です。
会社の資料や顧客情報などが保存されている場合は、会社の規則や情報管理の方針に従い、適切な担当者へ引き継ぐ必要があります。
スマホやPCを処分する場合は、初期化やデータ消去の方法を確認しましょう。
家族に残すデータと第三者に渡る前に消去すべきデータを区別しておけば、個人情報の流出を防ぎやすくなります。
9.家族への情報の共有・希望を話す
デジタル終活の準備を進めても、その内容を誰にも伝えていなければ、必要なときに役立ててもらえない可能性があります。
一方、パスワードや金融情報などを全て家族に公開する事に抵抗がある人もいるでしょう。家族であっても情報共有をためらう人は必ずいます。
大切なのは、必要な情報を必要な相手が確認できるようにしておく事です。
例えば、家族には「スマホの写真は残してほしい」「使っていないSNSは削除してほしい」「ネット銀行の口座があるので、必要なときは金融機関へ連絡してほしい」といった希望を伝えておくだけでも、判断の助けになりますね。
デジタル終活ノートの保管場所や、緊急時に連絡してほしい人についても、信頼できる相手に伝えておくとよいでしょう。
いきなり「終活」の話をしない
ここで注意したいのは、家族に全てを一度に説明しようとしない事です。
いきなり「自分が亡くなった後の話をしたい」と切り出すと、家族が戸惑うかもしれません。
「スマホをなくしたときにも困らないように、アカウントを整理しておこう」「大切な写真を家族で共有できるようにしておこう」といった話なら、自然に始めやすいでしょう。
また家族が複数いる場合は、誰に何を伝えるのかを考えておく事も大切です。
デジタル機器に詳しい家族に端末やデータの整理を相談し、金融資産に関する情報は別の信頼できる相手に伝えるなど、役割を分ける方法もあります。
財産の相続や遺言に関する重要な事項は、ノート等で済ませようとせず必要に応じて専門家へ相談しましょう。
本人の希望を明確にしておく事は、家族の負担を軽減するだけでなく、家族同士の行き違いや不要なトラブルを防ぐ事にもつながります。
10.今日から始めるデジタル終活チェックリスト
ここまでデジタル終活で考えておきたい様々なポイントを紹介してきました。
これらを全て一度に整理しようとするのは、作業量の多さ的に負担を感じてしまうかもしれませんね。
そこでまずは次の項目から取り組んでみましょう。
【デジタル終活の基本チェックリスト】
□利用中のサービスを洗い出す
メール、SNS、クラウドストレージ、ネット銀行、ネット証券、電子マネー、動画配信サービス、ショッピングサイトなど、利用しているサービスを書き出します。
□残したいデータを確認する
家族の写真、動画、文書など、将来も残しておきたいデータを整理します。必要に応じてバックアップを取り、保存場所も記録しておきましょう。
□不要なアカウントを整理する
使っていないSNSやオンラインサービスがあれば、解約やアカウント削除を検討します。ただし、削除するとデータを復元できなくなる場合があるため、必要な情報を先に確認してください。
□金融サービスの存在を記録する
ネット銀行や証券会社、電子マネーなどの利用先を整理し、家族が必要な手続きに進めるようにしておきます。パスワードを共有することよりも、口座の存在や問い合わせ先を明確にすることを優先しましょう。
□アカウントの引き継ぎ設定を確認する
GoogleやAppleなど、利用頻度の高いサービスについて、死後のデータやアカウントの取り扱いに関する機能があるかを確認します。
□パスワードと認証方法を整理する
パスワードの保管場所や管理方法を見直します。二段階認証を利用している場合は、本人が使えなくなった際の復旧手段も確認しましょう。
□デジタル終活ノートを作成する
利用サービス、データの保存場所、死後の希望、緊急時の連絡先などを記録します。パスワードや暗証番号は不用意に書き込まず、安全な保管方法を別途検討してください。
□家族に必要な情報を伝える
ノートの保管場所や、困ったときに相談してほしい相手などを、信頼できる家族に伝えておきます。
□定期的に内容を見直す
新しいサービスを利用し始めたり、スマホを買い替えたりしたときは、記録を更新します。年に一度など、見直す時期を決めておくと継続しやすくなります。
先述しましたが、全ての項目を一度に完了させる必要はありません。
まずは利用しているサービスを3つ書き出す、写真のバックアップを確認する、といった小さな作業から始めてみましょう。
11.デジタル終活は今を整理すること
デジタル終活という言葉から、死後の手続きや家族への負担を想像する人は多いかもしれません。
しかしここまでお読みになったユーザーはこのデジタル終活が、亡くなった後のためだけに行うものでは無い事がわかると思います。
自分がこれまでに蓄積してきたデータや契約・アカウントを見直す、それらは今後の暮らしを快適にするためのよりよい機会になるはずです。
使っていないサービスを解約すれば、毎月の支出を減らせるかもしれません。
写真や文書を整理すれば、必要な情報を見つけやすくなります。
パスワードの管理方法を見直せば、日常のセキュリティ対策にもつながります。
自分にとって本当に大切なデータが何なのかを考える事は、自分の「今」を振り返る事にもなるのです。
適切に引き継ぐ手段を考える
長年撮りためた写真、メールのやり取り、仕事で作成した資料、趣味の記録。デジタルデータには金銭的な価値だけでは測れない思い出や経験が詰まっています。
デジタル終活は、それら全てのデータを残す事ではありません。
不要な情報を整理し、残したいものを選び、必要な相手に適切な形で引き継げるようにする事が、デジタル終活の大切な目的です。
デジタル終活ノートは、本人の希望や必要な情報を伝えるためには実用的な方法ですが、財産の相続や遺言などに関する法的な効力が、認められる訳では無い事に注意して下さい。
財産分与など、法的な手続きが関わる内容については、遺言書など適切な方法を検討し、必要に応じて専門家へ相談することをおすすめします。
デジタル終活は継続作業
デジタル終活は、一度整理したら終わりという活動ではありません。
利用するサービスや端末は変化し保存するデータも増えていきます。無理ない範囲で定期的に見直していくべきです。
自分にとって大切なものを見極め、必要な情報を安全に残し、伝えたい相手に希望を伝えておく。
その積み重ねが自分自身の安心につながり、残された家族の負担を軽くする事にもつながります。
まずはスマホの中にある写真や、使っているオンラインサービスを見直すところから始めてみて下さい。
完璧に整理するのではなく、できることから少しずつ準備を進めたいものですね。