介護・リハビリ用品のレンタル契約解除・返却について

介護やリハビリ系の品物は、ベッドや松葉づえ・歩行器などたくさんありますよね。

こういった製品は基本的に「レンタル」が多く(もちろん購入する場合もあるでしょうが)、その利用者が亡くなった場合には貸主へ返却する必要があります。

レンタル用品を返却する場合、ご遺族側には「契約確認や回収手続き・費用支払い・相続」などの課題が絡む事があり、意外とトラブルが多い分野であるとされています。

本記事では、介護・リハビリ用品などの返却の流れ・必要手続き・注意点・ありがちな問題を体系的にまとめます。

1.多くの介護用品は「レンタル契約」

まず大前提として歩行器や松葉づえ・介護ベッドを利用する際、そのほとんどが「レンタル=借り物」である事を覚えておきましょう。

つまりそれらは、介護保険の「福祉用具貸与」制度を利用した備品となります。

  • レンタル契約は本人名義が多い
  • 所有権は貸与業者にある
  • 利用者が死亡してもレンタルが自動終了しないケースあり

この福祉用具貸与は、対象者が亡くなった後によくトラブルの元になります。

2.死亡後の基本的な返却フロー

まずは利用者が死亡した場合の、各種レンタル用品の返却の流れを簡単に紹介しましょう。

あくまで一般的な流れとなります。

業者連絡

利用者の死亡確認がされましたら、家族がレンタル契約の担当者へ連絡しなければなりません。

担当ケアマネージャー或いはレンタル品を貸している福祉用具事業所へ直接連絡する事になるでしょう。

※主に利用者の名前と死亡した日などを伝える事になります。

契約終了手続き

次にレンタル業者と「契約終了」の手続きおこない、レンタル用品の利用停止日が確定されます。

基本的にレンタル用品は「月単位課金」である事が多いので、月末まで料金が発生する可能性が高いです。

この月単位課金がよくトラブルとなる部分です(後述します)。

レンタル用品の回収・引き取り

レンタル用品の引き取り日が調整・決定され次第、業者が自宅へ回収に伺う事になります。

例えば介護ベッドなどの大きな備品は、分解・搬出まで業者が担当します(清掃も行われます)。

返却対象のレンタル用品はきちんと状態を検品されますので、破損が発見されるとその分の額を請求されることもあります。

これでレンタル品の返却は大体終了です。スムーズに終われば返却まで大きな事にはならないはずですね。

3.遺族が最初に確認するべき項目

利用者が亡くなった直後、家族は正直葬儀や役所手続きなどで忙しいものです。

遺品整理中に気づく事が多いと思いますが、こういった介護用品のレンタル返却は実は忘れがちです。

返却はどうすれば良いかすぐにわからない事もありますので、まずは以下を確認しましょう。

確認項目【一例】

  • 担当するケアマネジャーの氏名と連絡先
  • レンタルをしている業者名と連絡先
  • レンタルしている品数と内容の把握
  • レンタル契約書の所在

特に上の項目にあるケアマネージャーや業者の連絡先や契約書などは、すぐに見つからないケースがあります。

逆にこれらは現役で利用している最中に確認できる項目でもあるので、早い段階で把握しておくべきでしょう。

対象の品となる介護ベッドは大きいので気付きやすいですが、杖やセンサー機器は特に見落とされやすい物の一つです。

それに誰も知らなかった品物が、実はレンタル品だったという事もあります。

複数業者からレンタルしている時などはこういった管理が不十分になるケースがありますので、その意味でも事前把握が重要なポイントになります。

4.介護用品の返却時によくあるトラブル

ここからは介護品・リハビリ用品の返却時に起きやすいトラブルをまとめてみました。

トラブル1:利用課金したままになっている

先ほども挙げましたが、介護保険のレンタルは基本的に日割りではなく月単位課金である事が多いです。

極端なお話本人が1日に亡くなっても、当月31日までレンタル料が発生する事になります。

その利用請求がされるのは大体「翌月以降」になるため、「もう亡くなったのに請求が来た」という苦情が遺族から出る訳です。

さらにレンタル解除手続きを忘れたままずっと課金がされ続け、それに気づかないというケースもあります。

最悪それは避けなければなりませんよね。

トラブル2:契約は債務であり相続対象

ちょっと難しい話になりますが、レンタル契約は法律上「債務付き契約」となります。

これはアパート家賃などと同じ契約体系です。

何がトラブルとなるかというと、死亡後の「契約の扱い」に関する部分です。

月額課金制が債務扱い

例えば本人が1日に亡くなった後すぐにレンタル契約を解除したとします。

ですが月額レンタル(月単位課金)の場合、月末までの「1か月のレンタル料金」が発生する事になりますよね。

これが「債務」であり、利用者の死後はこれが遺族に対して相続されてきます。

支払い義務が遺族に発生

この時レンタル品の契約主体は「亡くなった本人」でしたが、支払義務は相続人に移ってきます。

これらを相続した遺族側が「知らない」「払いたくない」と言い出すケース(相続放棄)が多々ある訳です。

家族の誰も責任を負いたくないので、そのまま放置で債務だけ残るという構造になりがちです。

この様に親族関係が上手くいっていない場合や希薄である場合、契約面で揉める場合があります。

もし契約を解除していない場合は、どんどん債務が膨らんでいく事になりますので注意が必要です。

トラブル3:返却も一大イベント

これは現実的によくある問題の一つです。

利用者が亡くなった後、ご自宅でお通夜や葬儀を行う場合はご自宅に人の出入りが多くなります。

部屋に遺体安置をしつつその横でベッド解体するという場面は、実は心理的に辛い状況になりがちです。

そのため実際にご遺族は、介護用品などについて「葬儀後の回収」を依頼するケースが多い訳ですね。

※そもそも介護ベッドがあると、部屋が狭くなかなか人が呼べないという事で、結果ご自宅で葬儀をせずに近くの祭事場でおこなう事になりかねませんが。

ただ、葬儀が終わるとなかなか立ち会う人が揃わなくなるので、肝心な返却の日が決定しずらくなります。

いずれにしても備品の返却は「ご遺族の行事の一つ」なりますので、日程調整は大変ですが必ず実施する必要があります。

トラブル4:故障・汚染による請求

特に多いのがレンタル用品に対し、尿による汚染やタバコの焦げ、改造した個所が見受けられるケースです。

場合によっては検品の際、「通常使用を超える損耗」として請求対象になる事があります。

ものが次に使えない程に故障している場合、その請求額が大きくなる事もあり得ます。

5.レンタルと購入品の違い

実は介護用品は主に2種類あり、ここまで大体がレンタル品と伝えてきましたが、買い取ったものもあります。

種類返却
福祉用具貸与ベッド・車いす必須
特定福祉用具
販売品
ポータブルトイレ返却不可

上の表内にある「販売品」は衛生上再利用しないため、遺品として処分できるものになります。

ですので返却するものとしないものとをきちんと分けておく事が必要です。

間違っても貸与品を捨てない事です。

遺品整理業者が誤って捨ててしまうトラブル

実は遺品整理業者がレンタル品を勝手に処分してしまうケースも見受けられます。

本来は貸与業者側に返却しなければならないものでしたが、それと気づかず整理処分してしまう訳です。

確認不足・情報共有不足の面もあるかも知れませんが、実際に起こっているケースです。

結果として弁償請求を掛けられたり、産業廃棄物扱いとして処理対応する事になります。

6.見落とされがちな機器一覧

レンタル用品の際には、返却を忘れられやすい物があります。いくつか紹介しましょう。

  • 徘徊センサー
  • 見守りカメラ
  • ベッド柵
  • マットレスのみレンタル
  • 手すり(置き型)

これらは「建物自体の備え付け」に見えるため、返却漏れが起きやすいアイテムになります。

7.家族がレンタル用品の内容を把握していない

利用者が病院で亡くなった場合、自宅には介護ベッドだけが残りますのでそれを使っていた事はわかります。

しかし他に日々利用者が利用していたレンタル品現物を、家族が全て見ているとは限りません。

「そもそも何を借りているか分からない」という問題が起きやすいものです。

この状態を避けるためにも、事前に管理把握を進めておくべきでしょう。

ケアマネージャーなどがいれば情報共有がしやすいので、連絡を取っておくべきです。

8.備品の回収時は家族も動く事

介護ベッドなど大きなレンタル品を返却する際は、もちろん業者が訪問の上対処するのですが、家族側はただぼーっと立っていてはいけません。

導線を確保したり、マンションなどであればエレベーター使用許可をとったり、部屋をある程度片づけて動かしやすくるなど、やる事はいくつもあります。

特に集合住宅で管理会社への事前連絡を怠ると、後々まずい事になる可能性があります。忘れずに連絡しておきましょう。

9.まとめ

以上様々な面から説明しましたが、特に起こりやすいトラブル課題をまとめました。

  • どこに連絡すればよいか分からない
  • 契約書が見つからない
  • 回収日まで部屋が片付かない
  • 請求が来て驚く
  • 返却忘れで数ヶ月放置

これらを防止する事前と事後の準備として以下のポイントを把握しておきましょう。

事前準備ポイント

  • レンタル品リストを作成する
  • レンタル業者名を冷蔵庫に貼る
  • ケアマネージャーの連絡先を共有

これは実際に医療ソーシャルワーカーが推奨する方法です。

利用者が元気なうちからこれらを進めておけば、いざという時に慌てる必要がありません。

事後準備ポイント

①死亡したらまずケアマネージャーへ連絡
②月額課金なので早く契約を解除して止める(1カ月はやむなし)
③レンタルと購入品を区別する

これで本人が亡くなった後も落ち着いて進める事ができるでしょう。