
遺される側から見た「実家の片付け」
親が高齢になり施設への入所が決まった時や住み替えなど、ライフステージが変わる度に必要になるのが「家の整理」です。
またその先の展開として親が亡くなるという場合もあり、親を見送って遺された家族はどうしても遺品の整理をする必要が出てきます。
ここで注意したいのは「遺品整理」は自分の家の片付けとは全く違うという点です。
自分の家の片付けとは労力が全く違う
親の遺品を整理する際、主な工程としては次の様な項目が挙げられます。
- 親が残した大切なもの、重要なものを探して保管
- 必要不要なものの仕分け
- その仕分けを部屋ごとに順を追って実施
- 不要物やゴミの処分
この様に片付けといっても自分の家の大掃除をするのとは訳が違い、かなりの時間と労力を使う作業になります。
実際に片づけのすると、ゴミとして処分できるものが膨大に出てきますよね。
今度はそのゴミの処分方法にもあれこれ頭を迷わせる場合があるのです。
1、モノが持つ気持ちの重さ
自分の家の片付けは「要る・要らない」「使う・使わない」で一般的には判断していますよね。
それに対し遺品整理は、亡くなった方の思い出や残された家族の感情とともに「捨てていいのか・悪いのか」という迷いが常につきまとってきます。
つまり残されたモノの「価値」ではなくモノから発生する「感情の重さ」が判断基準になり、その面で最大の違いが出ると言えるでしょう。
2、勝手に捨てられない「他人の人生」
仮にそれが自分の物なら「もう使わないから処分しよう」で済みますよね。
それに対して遺品の中には、日記や手紙、写真・趣味の道具など、その人の生き方そのものが中心となる品物があります。
一見不要に見える品物でも「家族に確認すべきか」「残す意味があるか」を考えながら進めなければなりません。
3、法律・お金が関わってくる
自宅の片付けではほぼ関係ありませんが、遺品整理では特に貴重品に対する扱いが繊細になります。
・通帳・印鑑・権利書
・現金・貴金属
・契約書・保険関係
相続・トラブルに直結する物があるため「とりあえず捨てる」「自分で処理する」などが決してできないものになります。
4、遺品整理は複数人の感情が交差する場
遺品整理は誰が立ち会うか、何を残すか、形見分けをどうするか、で揉めやすい傾向にあります。
自分の片付けは自分だけの問題ですが、遺品整理は複数人の感情が交差する場になるためですね。
あなたやあなたの妹の父であり、奥さんの旦那さんであり、おじさんの弟だった人なのです。
そういった複数の感情がすべて交わらずに済む品物や場面はなかなか出てきません。
5、精神的ダメージが想像以上
実際の現場では「まだ使えたのに…」「この時こんなことがあったな」「もっと話せばよかった」などと、作業中に気持ちが止まることも多いです。
体力より精神力を消耗する作業という面が遺品整理にはリアルに存在します。
自宅整理と遺品整理の違いまとめ
| 項目 | 自分の家の片付け | 遺品整理 |
|---|---|---|
| 判断基準 | 実用性 | 感情・配慮 |
| 所有者 | 自分 | 亡くなった人 |
| 捨てる判断 | 即決 | 慎重 |
| 法的要素 | ほぼなし | あり |
| 心理的負担 | 軽い | 重い |
自宅整理と違いストレスを感じやすい
遺品整理はその人の生きてきた証と向き合い、思いを馳せながら気持ちの整理をしていくものです。
特に責任感の強い人などは、なかなか親族の日程が合わないからと言って一人で頑張ってしまう傾向にあります。
自宅の片付けと違い現地へ赴く必要がありますし、往復するだけでも一苦労の距離にある場合もあります。
そうこうしている間に疲れがピークになり、本当はそう思ってはいけないのに、遺品整理を「ストレス」と感じてしまう場合があるのです。
仮に責任感の強い方でなくても、整理していくうちに色々と抱え込むはずです。ものによっては辛い場面も出てくる事でしょう。
でも本来遺品整理は、ストレスを持って取り組む作業ではないはずです。
ただでさえストレスを抱えやすいのですから「片づけの分量」だけは人や業者を使う事で軽減していくべきだと思います。
遺品整理は生きてきた証と向き合う作業
例えば、息子とその妹が子供の頃にお母さんに書いた手紙や撮った写真・通信簿、赤ちゃんの時のおもちゃなどが出てくる場合があります。
これは自宅の片付けでは絶対に出てこないものの一つでしょう。
それは本人たちが40歳を超えていても、息子・娘のものとして長い間捨てずに大事に持っているものなのです。
こうなると親の深い愛情の証をすぐにポイポイと捨てれる訳がありません。
もしこの時、母親から「業者に頼んでいいからね」という一言をもらっていれば、気負わずに思い出に向き合う時間にできるかも知れませんね。
遺品整理は供養にもなる
日々の仕事や家事に追われていると、片付けの時間や費用立てをするのも一苦労でしょう。
思い出が詰まった家であれば、なおさら片付けを開始するのに時間が掛かる事もアリがちです。
しかし遺された人が決断して動かなければ、家は一向に片付きません。
まずはゴールを設定し、故人への「供養」として早めに行動を開始する事が大事ではないでしょうか。
遺品整理の第一歩はどれだけイメージできるか
完了イメージを持つことが片付けを飛躍的に向上させる
身内がなにもせずに他界してしまったら、遺された誰かが片付けを担う事になりますよね。
そんな時片付けの当事者としてまず取り組むべきことは到達点や過程がどれだけイメージできるかによって変わります。
自宅の片付けとは大きく変わり、大きな視点と小さな視点とが必要になります。
大きな視点と小さな視点で片づけを考える
親御さんや身内が他界した場合、その当事者が済んでいた家の整理をする事になるでしょう。
家の整理には大きな視点と小さな視点とでそれぞれ考える必要があります。
大きな視点
大きな視点で見ると、まず家一件分の荷物を片付けるというのはなかなかの大仕事です。
最終的に家を売却するのか維持するのか、この観点に立つと片付けの方向性・方針も変わってきます。
最終的にどの様な形を到達点(ゴール)とするのかを明確にする必要がある訳です。
その為に逆算を重ねて、家財道具の処分方法を検討したり、片づける際の人出と時間そして費用をいかに捻出するかなどを考えなくてはなりません。
小さな視点
小さな視点で言えば、家族が長く暮らしていた実家には、たくさんのものと思い出の品があふれている事でしょう。
中でも団塊世代の親というのは、とにかくものが捨てられませんので、使わないタオルや包装紙などがたくさん溜まっています。
さらに日常で使う消耗品も多くストックしている事が多々ありますね。
この様に大きなレベルから小さなレベルまで様々な課題が生まれてくるものなのです。
片付け準備としてやる事を書き出す「やる事リスト」
そのためにもまずは「やる事を書き出す」ことから始めましょう。
遺品整理は案外やる事がたくさんある事に後から気づいて焦る場合があるため、まずはこのやる事リスト作成に着手する事をおすすめしています。
やる事リストを参考に、何をいつまでに終えるのか、大まかなスケジュールと必要な人員を割り出してみましょう。
この時先述した大きな視点と小さな視点とを同時に検討していくのがベストです。
やる事リストの内容について
まずは思いつくままに書き出ししてみましょう。重要な事はもちろんですが、その前後に必要な事などに後から気づく場合もあります。
片付けノートの様なものがあれば必要な情報をひとまとめにできますし、必要に応じて書き直し・整理する事ができます。
一度書きだしてそれを大小レベルの視点に分け、優先順位を決めながら整理をしていきましょう。
やる事リストの例
- 相続の協議
- 実家の状態チェック
- 預貯金口座の名義変え
- 登記変更の手続き
- 大まかな費用の算出(処理費用/交通費)
- 関係者の意向確認、人員確保、役割分担
- 片付け業者、解体業者の調査、見積り依頼
- 片付けの日程調整
内容はもちろん、それぞれ「いつまでに終えるのか」時期的な目標を設定する事が大切です。
該当の項目決定が終了しないと、次の工程に進めないものが出てくるためですね。
タイムスケジュールを決める中で、「急がない内容」「日程が決まっている内容」とで優先順位が分かれてきますので、柔軟にノートに書いて整理していきます。
遺品整理は事前準備が可能な片付け
その時は突然訪れる
突然の病気や事故で家族・親族が他界する事も無いとは言えません。
ではいざという時が来る再に私たちはどうすれば良いのでしょうか。
これは決して不謹慎な話ではなく、あくまでリスクヘッジの観点で物を見る事が大切です。
日々の暮らしの中で貴重品の保管場所や家の処分方法の確認などを前もって話し合ったり、メモを残す様にしておけば、いざという時に役立ちますよね。
前もって準備する事は遺品整理のリスクを限りなく下げる
突然の出来事に迅速に対応できる様に、前もって準備する事も立派な「家の整理」です。
事前の家の整理はとても重要ですし、遺品整理中の工程を大幅に短縮できる場合もあります。
正直この事前準備がどれくらいできるかによって、負担やストレスも大きく変わってくる事でしょう。
さらには大きなトラブルリスクも回避する事につながるのです。