終活とは何か?その重要性と始めるタイミング

「終活」という言葉を耳にした事はありますか?

最近よく聞くこの「終活」ですが、意味としては言葉の通り、自分の最期に向けての活動となります。

終活は決して特別なイベントではなく、誰もが避けて通れない人生の大切な準備と言っていいでしょう。

しかし実際には具体的に「いつ」「何を」「どこまで」するべきなのかまで、明確でない部分が多くあります。

それに人によっては「まだ早い」「考えたくない」と後回しにしているかもしれませんね。

終活とは?

終活とは一般的に人生の終わりに向けた「準備活動」の事で、具体的な活動には様々な内容があります。

  • 自分に提供される医療内容
  • 遺言書の作成
  • 相続対策
  • 葬儀の準備
  • 財産の整理

上記の様に自分の死後に残される家族や周囲の人々が困らない様に事前に準備しておく事になります。

終活に取り組む人の割合は年々増加していて、特に50代以上の世代で関心が高まっている様です。

しかしまだ多くの人が「何からどの様に始めればいいのかが分からない」と感じている様です。

終活はいつ頃始める?

あなたが「終活はいつ始めたら良いのだろう」と思うのなら、あえて「今でしょう」と言わせて下さい。

終活の事について考えたのであれば、あなた自身に将来的に何かしら思う事があった訳です。

早めに準備を始める事で、余裕を持った締めくくりを迎える事ができる訳で、あなたの年齢や健康状態は基本的に関係ありません。

先程「今でしょ」と申し上げましたが、仮に年齢をベースに考えるのであれば以下のタイミングを参考にして下さい。

ライフステージ終活の始め時
40代~50代親の介護や相続を経験する頃
60代退職を迎え、生活環境が変化する時期
70代以降健康への不安が増す頃

上記はあくまで目安であり、基本的には本人の状況に応じてタイミングを考える事です。

例えば持病があったり60歳以上で単身生活中の場合は、より早い段階から準備を始めるべきだと思います。

若いうちから終活を意識するメリット

若いうちから終活を意識すると、以下のようなメリットがあります。

  • 人生の優先順位を見直す機会が増える
  • 長期的な人生設計が可能
  • 計画的な財産管理や相続対策が可能
  • 家族との対話の機会が増える
  • 家族への愛情を持った行動がとれる

終活に取り組んでいる人の約7割が、心の整理ができたり家族との絆が深まったと回答している調査もあります。

早めに準備しておけば余計な心配をせずに済みますし、精神的な安定にもつながるのです。

終活を先延ばしにするリスク

一方で終活を先延ばしにすると、以下のようなリスクが生じます。

  • 最期の最期で自分の意思が反映されない
  • 家族の混乱を招く
  • 突然の出費による経済的ダメージ
  • 遺産・相続トラブルによる家族親族の関係悪化

自分は大丈夫だし終活なんて関係のない話と高をくくっても、そんな時に「まさか」の予期しない事に出くわすのが人生です。

決して対岸の火事ではありません。

終活は、いざ何かが起きた時に自分と家族を守るための重要な準備と言えますね。

終活を始める際の心構え

終活を始める前に、いくつか心構えを持ってみましょう。

  • 前向きな姿勢で取り組む(イヤイヤしない)
  • 家族や親しい人と相談する
  • 急がず自分のペースを保つ
  • 専門家のアドバイスを積極的に活用する

終活と聞くと縁起が悪く暗いイメージを持ちがちですが、決してそうではありません。

むしろ残された時間をより豊かに過ごすための活動として、ポジティブなイメージを持つべきです。

終末は、残念ですが皆さんの人生の延長上に必ず存在します。

自分らしく人生の締めくくりを考える事は、今を生きる上でも大きな意義を持つはずです。

専門アドバイザーの助けを借りる

中には精神的、或いは経済的な不安があるので終活ができないと思う人もいる事でしょう。

しかし適切なサポートを受ければ、スムーズに終活を進める事は可能です。

終活専門サービスを展開する業者もたくさんあり、経験豊富なアドバイザーが一人一人の状況に合わせてサポートしてくれます。

あなたのお住まいの地域での専門業者を探してみてはいかがでしょうか。

終活でやるべき「8つのポイント」

終活は人生の締めくくりを自分らしく迎えるための大切な準備です。

そこで専門家が厳選した、終活でやるべき「8つのポイント」を詳しく解説します。

これらのポイントを押さえておけば、あなたの終活がより前向きかつスムーズに進むはずです。

8-1エンディングノートの作成

皆さんは「エンディングノート」をご存じでしょうか。

エンディングノートとは自分の人生や最期の願いを記録する大切なノートの事です。

自分の思いや希望を記述する事で、残された家族親族の様々な負担の軽減をうながす書面と言えます。

エンディングノートの内容

エンディングノートには、以下のような項目を記入するのが一般的です。

  • 基本情報(氏名、生年月日、住所など)
  • 家族構成
  • 財産目録
  • 保険や年金の情報
  • 医療や介護に関する希望
  • 葬儀やお墓についての希望
  • 大切な人へのメッセージ

これらの情報をノート上に整理しておく事で、万が一の際に家族が落ち着いて対応ができますよね。

またこれらをノートに記述する事自体、あなた自身の人生を振り返るきっかけにもなっていく訳です。

おすすめのエンディングノート

エンディングノートは市販されていますからそれらを購入して良いと思います。

人気の高いエンディングノートをいくつか紹介しましょう。

商品名特徴価格
終活ノート「私の心づもり」記入例が豊富で分かりやすい1,650円
エンディングノート「もしもの時に役立つノート」シンプルで使いやすい1,100円
終活ノート「私の大切な情報」デジタル資産の記入欄あり1,980円

これらはあくまで目安であり、自分にあったものが無ければ自作をしても構いません。

8-2遺言書の準備

遺言書は、自分の死後に財産をどのように分配するかを法的に定める重要な文書です。

よくドラマなどでも題材に上げられますが、イメージの通り相続トラブルを未然防ぎ、大切な人々にあなたの意向を伝える最大の法的効果を持つツールです。

遺言書の重要性

遺言書を作成することで以下のようなメリットがあります。

  • 故人の最後の意思を明確に伝達する
  • 相続対象間トラブルを防止する
  • 法定相続分と異なる財産分配が可能
  • 相続税の節税対策にもなる

特に再婚されたご家庭や複雑な家族関係の場合は、遺言書作成がより重要な効果を発揮しますので覚えておきましょう。

公正証書遺言と自筆証書遺言の違い

遺言書には主に公正証書遺言と自筆証書遺言の2種類あります。

種類特徴メリットデメリット
公正証書遺言公証人の立会いのもと作成法的効力が高い、紛失のリスクが低い費用がかかる、手続きが複雑
自筆証書遺言自分で手書きで作成費用がかからない、簡単に作成できる無効になるリスクがある、紛失や偽造のリスクがある

公正証書遺言は作成費用が必要ですが、法的な確実性が高い証書です。

一方、自筆証書遺言は手軽(無料で作成可能)ですが、法的要件を満たさないと無効になる可能性があります。

自分の状況に応じて適切な方法を選びましょう。

8-3相続対策の実施

相続対策は、大切な財産を次世代に円滑に引き継ぐための重要な手続きです。

特に相続税の負担を軽減する事ができれば、家族間の負担トラブルを防ぐ事ができます。

相続税のポイント

以下に相続税に関する重要なポイントをまとめてみました。

  • 基礎控除額:3,000万円+(600万円×法定相続人の数)
  • 税率:10%~55%の累進課税
  • 申告期限:相続開始を知った日から10ヶ月以内

上記は目安であり相続税の計算は複雑なため、実際には専門家のアドバイスを受けた方が良いと思います。

国税庁WEBサイトでも、相続税に関する詳細な情報は提供されています。

生前贈与の活用方法

中でも生前贈与は、相続税対策として有効な方法の一つです。

いわゆる「毎年110万円までの贈与であれば、贈与税が掛からない」という最大のメリットがあります。

生前贈与の主な方法をご紹介しましょう。

  • 現金や預金の贈与
  • 不動産の贈与
  • 株式や投資信託の贈与
  • 教育資金の一括贈与(1,500万円まで非課税)
  • 結婚・子育て資金の一括贈与(1,000万円まで非課税)

生前贈与にもやはり様々な制限や注意点があります。

例えば贈与から3年以内に贈与者が亡くなった場合、その贈与財産は相続財産に加算される等がありますので、ここも専門家のアドバイスを受けた方が良いでしょう。

8-4医療・介護の事前指示書作成

人生の最終段階における医療や介護について、自分の意思を明確に示しておくことは非常に大切です。

自分らしい最期を迎えるための準備として、事前指示書を作成する事ができます。

非常にセンシティブなお話ですが、あえてご紹介します。

リビングウィル

リビングウィルとは、現在自分が受けている終末期医療に関する「意思」を事前に表明する文書の事です。

  • 延命治療の希望の有無
  • 人工呼吸器の使用に関する意思
  • 胃ろうなどの経管栄養に関する希望
  • 痛み緩和の方針
  • 臓器提供の意思

上記の様な内容を書面を作成しておくことで、その意思を尊重した医療を受けられる可能性が高まります。

また家族の精神的負担を軽減する効果も期待できるでしょう。

厚生労働省のガイドラインを参考に、リビングウィルに自分の意思を明確に記載しましょう。

成年後見制度の活用

成年後見制度は認知症や障害などで本人の判断能力が不十分となった際に、その本人の権利を守り生活を支援する制度です。

種類対象者支援内容
後見判断能力が欠けているのが通常の状態の人財産管理や契約などの法律行為全般
保佐判断能力が著しく不十分な人重要な財産行為の同意や取り消し
補助判断能力が不十分な人特定の法律行為についての同意や取り消し

これらの詳細は裁判所WEBサイトで確認ができますので、検討して必要に応じて申し立てをおこないましょう。

8-5葬儀・お墓の準備

葬儀やお墓の準備をしておく事は終活の中でも特に重要な部分です。

自分らしい葬儀や納骨のため、事前に自分の希望を伝えておくことが大切です。

葬儀の形式選び

近年、お葬式の形式は多様化しています。

自分や家族の希望に合わせて以下の様な様々な形式がありますので、自分の希望で選びましょう。

  • 一般葬:通夜と告別式を行う一般的な形式
  • 家族葬:近親者のみで行う小規模な葬儀
  • 直葬:葬儀を行わず、火葬のみを行う形式
  • 樹木葬:遺骨を樹木の根元に埋葬する自然志向の葬儀
  • 散骨:海や山に遺骨を撒く形式

自分の希望する葬儀の形式を家族に伝えておけば、遺された家族が迷わずに進める事ができます。

何より本人が亡くなった直後はバタバタしますので、家族に負担や選択を強いらないで済むよう、事前に葬儀社と相談して準備を進めておくのも良いでしょう。

お墓の種類と選び方

自分が入るお墓を選ぶ事も、終活の重要な要素です。

自分や家族の希望を集約し、維持管理の負担や費用などを考慮して選びましょう。

種類特徴メリットデメリット
墓石型一般的な石造りのお墓伝統的、永続的維持費用が高い、場所の制約あり
納骨堂建物内に骨壺を安置管理が楽、比較的安価個別性

従来の墓に入らず、自分でお墓を買ってそこに入るのも手段の一つですね。

8-6専門家のサポートを受ける

終活をしている中で、自分ではどうして良いかわからない問題が生じる事もあります。

そんな時は自分だけで解決しようとせず、専門家のアドバイスを受ける事も検討してみましょう。

税理士や弁護士など

法律や税金に関する複雑な問題に直面した場合、正直素人ではどうにもなりません。

特に以下の様なケースでは、早い段階で税理士や弁護士など専門家のアドバイスを受ける様にしましょう。

  • 相続税の対策が必要な場合
  • 複雑な家族関係がある場合(再婚や養子縁組など)
  • 事業承継の問題がある場合
  • 海外に資産がある場合

税理士や弁護士に相談すれば、法的なリスクを回避しつつ効果的な終活計画を立てることができます。

アドバイザーの選び方

終活に関する税理士や弁護士を選ぶ際の主なポイントを紹介します。

  • 資格や経験を確認する
  • 料金体系を事前に確認する
  • 相談者の要望をよく聞いてくれるか
  • 説明がわかりやすいか

複数の税理士や弁護士に相談して、できるだけ「比較検討」した方が、ポイントが洗練されて効果的です。

8-7終活サービスを活用する

人生の最終到達点への道となる終活中、一人で進めるには不安や困難を感じることがあります。

そんな時は、全工程において自分をナビゲートしてくれる様なサポートシステムを活用するべきです。

サービス側が提供するの手順通りに進める事で、効率的かつ確実に終活を進められるのです。

これがいわゆる「終活サービス」と呼ばれるものです。

終活サービスを受けるメリット

サービスを利用するメリットは多岐にわたり、円滑でスムーズな終活を支援する様々な体制があります。

経験豊富な専門知識を持つアドバイザーの提案を受けられますし、手続き代行や必要書類の作成支援など、幅広く対応してもらえます。

見落としている点や法律の最新情報なども提供できるため、より安心して進められます。

終活アドバイザーの役割

終活アドバイザーはその個人の状況に応じて以下の様な適切なアドバイスを提供します。

  • 終活プランの立案と進捗の管理
  • 法律や税金に関するアドバイス
  • エンディングノートの作成支援
  • 遺言書作成のサポート支援
  • 相続対策
  • 葬儀やお墓に関する情報提供
  • 家族間の対話の円滑な進行

終活アドバイザーを利用すれば、自分が今どの立ち位置にいるのかも把握しやすいですし、不安要素をスムーズに取り除いてくれる事でしょう。

終活サービスを選ぶ際は、以下の点を考慮することが重要です。

  • 専門的なサービス内容とその範囲
  • 透明性の高い料金体系
  • 対応地域と相談の方法(対面やリモートなど)
  • アドバイザーの所有資格や過去の実績
  • 利用ユーザーの口コミ

終活サービス利用の注意点

至れり尽くせりの終活サービスですが、利用する際は以下の点に注意しましょう。

  • 契約内容は隅々まで確認したか?
  • いつでも途中解約は可能か?
  • 料金体系を十分に確認したか?
  • 個人情報の取り扱いについての対応は?
  • 必要以上のサービスを提案されていないか?

中でも個人情報の取り扱いについては、十分注意が必要です。

自分の財産や個人情報を第三者に提供する事は、本来大きなリスクが伴います。

個人情報保護委員会のガイドラインに沿った厳格な情報管理を行える信頼できる業者を選ぶべきです。

8-8家族との大切な会話の機会

家族とのコミュニケーションの重要性

終活を進める上で、家族とのコミュニケーションは非常に重要です。

失礼な言い方になるかも知れませんが、自分の意思を家族に伝える事、そしてそれを理解してもらうという面では最期の対話となる場合もあるのです。

特に以下の面で家族との対話が必須になってきます。

  • 自分の最期の希望(医療や介護などの面で)
  • 財産の分配方法
  • 葬儀やお墓に関しての希望
  • 思い出の品への取り扱い

もちろん終活において、家族との対話は一度きりではなく継続的に行うことが大切です。

家族との対話で気をつけるべきこと

これらは家族会議中に起きやすいケースです。

本人:一度言った事を曲げたくないという強い気持ちを持っている
家族側:はっきりとした返答を出せない、本当は同意をしたくない

それらが家族間のわだかまりに発展する場合もある訳ですね。

そのためにも以下のポイントに注意しましょう。

  • 一方的な押し付けにならないよう、相手の意見に耳を傾ける
  • 感情的にならず、冷静に話し合う
  • 必要に応じて、第三者(専門家)も入れる
  • 内容を書面にして、後で確認する

家族会議のコツは、話した内容に関係なく「開催の数」を稼く事です。何度も話し合う場を設けるのですね。

定期的に何度も開く事で、起きていた摩擦が緩和される事もあります。

大抵は開催前の「家族間のコミュニケーション不足」が原因であり、それが対話中に大きく影響するのです。

最初の1回・2回では衝突していても、回を重ねる事で会話が普通になります。

それによってわだかまりが取れ、徐々に落としどころに着地する事もたくさんあります。

プライバシーと情報セキュリティの確保

終活では、自分の個人情報や財産に関する重要な情報を扱う事になります。

家族とのコミュニケーションが継続されている段階でも、適切に管理して最低限度のプライバシーを守ることが重要です。

最悪な考えですが、家族からその情報が洩れていくケースも無くはありません。

特にオンラインサービスなどを受けている場合、デジタル情報の管理には十分な注意が必要です。

家族には秘密にしていても、WEB上の情報はログイン情報さえあれば誰でも見れてしまいます。

  • パスワードの管理を徹底する
  • 重要な書類は家族の知らないところに保管する
  • オンラインサービスのアカウント情報は教えない
  • WEB上の権限の取り扱いについて家族と話し合う

オンライン上のサービスを利用する場合は、プライバシーポリシーや情報セキュリティ対策をしっかりと確認しましょう。

まとめ

終活は、自分らしい人生の締めくくりを準備するための重要な過程です。

エンディングノートの作成、遺言書の準備、相続対策、医療・介護の事前指示書作成、葬儀・お墓の準備、財産の整理、身辺整理、そして家族とのコミュニケーションが主な取り組むべき事項です。

これらを通じて、残される家族の負担を軽減し、自分の意思を明確に伝えることができます。

終活を進める際は、専門家への相談や定期的な見直しを忘れずに行いましょう。終活アドバイザーや終活サポートサービスの活用も検討すると良いでしょう。

終活は決して後ろ向きなものではなく、残りの人生をより充実させるきっかけにもなります。早めに始めることで、心の準備も整い、より良い人生の締めくくりを迎えられるでしょう。