生前整理(完璧は求められない)

すでに経験された方もいるかも知れませんが、身内が亡くなった際の「遺品整理」は想像以上に大変です。

生前整理は遺される側への最後の思いやりとも言えますので、家族の為にもどこかで一度考えて欲しいと思います。

自分で忘れている事・或いは言いにくい事などもあると思いますが、自分と向き合う最後の機会と捉えて欲しいと思います。

相続について

遺品整理と同時に発生しやすいのが「相続」という問題です。

相続は、生前整理の中でもかなりの比重を占める事柄ではないでしょうか。

住んでいた家が持ち家の場合はもちろん相続の対象となり、相続意思を表明した上で専用の手続きが必要になります。

遺品となる品々の整理もそうですが、こういった相続の手続きが大きな手間になる場合が多いのです。

※例えば親族が多い程、それだけ厄介になる傾向があります。

遺言書の重要性

仮にご本人が財産や家屋内の品々に関するエンディングノートを書き残していたとしましょう。

しかし正直なところ、それが「エンディングノート」である以上それに法的な拘束力は無いのが現状です。

法的な拘束力が無い以上、本人の遺志を遂行できるかどうかはその内容次第となるでしょう。

つまりここではエンディングノートではなく、整理や相続に関するきちんとした「遺言書」が望ましい訳です。

法的な拘束力が発揮されますので、その分問題は大きく軽減される事でしょう。

ですが正直そこまでしている人は、まだまだ少ないです。

指示が無いのはトラブルの元

もしこういったエンディングノートや遺言書が無いままだと、どうなるのでしょうか。

単に家を片付ける場合、ルールが無い訳ですから家族から様々な意見や要望が出てくるので、調整が大変になります。

思い出の品や形見分けの処分に対する判断が難しくなり、それに比例して時間も掛かります。

特に土地や建物などの大きな資産や財産の場合、親族間での意見が分かれて仲たがいに発展し、最悪の場合裁判や調停に発展する事もあるのです。

このような余計なもめ事を残さないようにするためにも、相続も含めた生前整理は重要だと考えます。

完璧を求める事はできない

エンディングノートや遺言書、生前整理の指示に完璧を求める事はできません。

当たり前の事ですが、本人の整理力に100%の精度がある訳ではないからです。

一つ良い例をご紹介します。

本人も知らない品

祖母の遺品を整理するにあたり、家族で手分けして現金や貴重品などを確認しながら処分していました。

物置に衣装ケースがたくさんありましたが、中身は古いタオルや着物の様でした。

ですので一つ一つは確認せず、専門の運搬業者にそのままトラックに積み込んでもらっていた訳です。

「そのまま積んで下さい」といわれれば、業者は大体そうしますよね。

ある程度片付けが済んできた頃、運んでいた衣装ケースの1つが、箱の底が抜けてしまいました。

こぼれた衣類や古い着物の中から、指輪やネックレスなど貴金属品が出てきたのです。

ほとんどトラックに積み終えていたのですが「これは大変だ」となり、一度荷物を全て部屋に戻してもらいました。

改めて衣装ケースの中身を調べなおす事になったのですが、安易に捨てなくて良かったと思います。

業者にも申し訳なかったと思います。

もちろんこれら貴重品の存在を前もって知っていれば、この様な事にはならなかったかも知れません。

しかし祖母本人もその事を忘れているケースもあるので、致し方ないケースともいえるでしょう。

衣装ケースは普段あまり開けたりしませんし、一人で一つずつ奥の方まで調べるのは大変です。

自分達がしなかった事を本人に求めるのは酷な事ですよね。

ですのでこういったケースは、必要経費ととらえるべきなのかもしれませんね。

知られたくない事・後ろめたい事などもあります。

もう一つは、言いにくい事・恥ずかしい事に関するケースです。

これも例を挙げて紹介します。

親父の借金

田舎の父の遺品整理をしなければならなかったのですが、遠方だったため放置していました。

しかしこのままではいけないと思い、いざ実家に行ってみると、父宛に金融機関から催促状が届いていたのです。

どうやら父には借金があった様で、既に相続放棄できる期間は過ぎていたようでした。

大きな金額ではなかった事もあり、仕方がないので代わりに返済をする事になりましたが、正直納得はいきません。

もう少し早く対応していれば、相続放棄する事もできたはずと考えると、悔しい限りです。

早めに整理をする事の大切さが身に染みた経験です。

この様に子や孫に対して、秘密にしておきたい事は実は多くあるものです。

本当は言わないといけない事なのですが、恥ずかしいしみっともない事と思えば思うほど、親の尊厳などもありますので躊躇する訳です。

こういう事例は特に墓場まで持っていく傾向が強いといえます。

先程の貴金属のケースと比べると笑い事では済まされない訳ですが、潜在的にそういった「リスク」もある事は理解をしておくべきです。