今でも残る遺品整理時の後悔

実は遺品整理時に遺恨が残り、いまでも後悔しているというお客様がいらっしゃいます。

今回はそんなお客様が経験した経緯の中から一部をご紹介します。

父の言葉に期待して

まずは父から財産を残していると聞いていた家族のお話です。


生前、父は私に財産を残してあると言っていました。

具体的に何をどれくらい残しているのかは聞いていませんでしたが、その時はまだ父は元気でしたので、特に細かく聞く事も無く済ませていました。

しかし突然父が亡くなり、家の片づけをする事になります。

その際ふと思い出したのが、父の「財産を残している」という言葉でした。

何度か言われていたので、不謹慎ながらも期待を持ちつつ、家の整理を少しずつ進めていました。

品の確認は細かくしないままの整理

自分自身も遠方から来ている事もあり、正直整理にそんなにまとまった時間を取る事はできません。

手早く済ませるために、遺品の一品一品を品定めせずに片っ端から片付けていた経緯があります。

しかしどこをどれだけ探しても見当たるものは発見できず、結局見つける事はできないまま片付けが終了してしまいました。

2つの後悔

ここで私は2つの後悔をする事になります。

整理業者は品物目利きのプロ

一つはもしこの整理を整理業者に頼んでいたら、父が残したものを見つける事ができたかも知れないという事です。

品定めのプロである業者であれば、短時間の間に品々を目利きして分類する事ができたはずでしょう。

それを怠って全て自分の感覚で処分したため、いわゆる眠っていた「お宝」を発見できずにいる可能性があるのです。

父とのコミュニケーション不足

そしてもう一つは、父ともう少しきちんと話しておくべきだったという後悔です。

住んでいた家からは何も出てこなかったのですが、必ずしも家に置いているとは限りません。

それに父は元々、そんないい加減な事を言う人ではないのです。

となると、どこかに何かを残しているのにちゃんと聞いていなかったため、発見できていない可能性があります。

この懸念が父の死後もずっと残っている状態です。

親がある程度の年齢になったら、その様な心配の云々とは別に、きちんと親の意向を聞いておくべきだと反省しています。

仲が良かった兄弟の決裂

次は仲が良かった兄弟が土地の分配の事でもめたというお話です。


母の死後、劣化した家屋の解体

市内に小さな土地と家があり、母が一人で済んでいましたが病気のために入院する事になりました。

10年程入院して母が他界し、その間家は空き家でしたので劣化が激しく、取り壊す事にしました。

遺品整理は時間をかけて兄弟で進め、知り合いの解体業者に依頼して取り壊しをする事で、順調に進んでいました。

遺言書が無いために仲たがい

ところが遺言書などが無かったため、土地の分配・相続についてはもめる事になってしまいました。

これまでは大変仲が良かった兄弟だったのに、話し合いが上手く行かずに簡易裁判までに発展する事に。

見にくく争う姿に、亡くなった両親には見せる顔がありませんでした。

この反省を踏まえて70歳になったのを機に、エンディングノートを作る事にしました。

それ程財産などは残していませんが、自分たちの子供には同じような争いをして欲しくないというのが願いです。

消えた宝飾品

次に、母の形見の品が最期まで見つからないまま終わってしまったという人です。


母が私に「宝飾品を残しているから」と以前から言っていました。

特に高価なものではありませんが、母の思い出が詰まった大切な品で、まだ母が持っている状態です。

その母が亡くなり、自分たちのできる範囲で片づけをしつつ、自分たちができない大型家具やごみの処分は業者に依頼をして対応しました。

もちろんその際に、業者には宝飾品の存在を「形見の品があるらしい」と伝えていました。

しかし、どこを探してもその宝飾品が見つからないのです。

業者を怪しんでしまう

晩年は母も痴呆が進んでいたので、もしかしたら母自身が誤って処分した可能性もありますが、そうとも限りません。

業者が着服した可能性まで勘ぐったりしましたが、さすがにそれは無いと思いますし、突然その様な事で問い詰めるとトラブルになりますよね。

結局見つからないまま整理作業は終了となりました。

母の形見の宝飾品がどこに消えてしまったのか、遺品整理が終わってからもモヤモヤが残ります。

きちんと詳細を明らかにしておく事

一番大切なのは、「残している品」の存在を知ったのであればそれがどこにどの様に保存しているのかも把握しておく事です。

中途半端に存在だけを知ってしまっていたため、損をした気分になる事はもちろん、いろいろな疑念を頂く事にもなります。

知らない方が良かったと思う時もありますが、細かく聞いていなかった私自身にも責任があります。

この様に、親の残したものを親が亡くなった後に探すのでは遅すぎると言って良いでしょう。

事前に把握して、整理をする時点では受け取っている位の状態であるべきです。